フィンランドの伐採について

最近日本でも、伐採機が導入され始め、伐採の生産性が向上しています。
20年前に初めてフィンランドでこの方式の伐採機を見た時に、
度肝を抜かれました。

現在も日々進化しているので、最新の情報ではないかもしれませんが、
現時点の私の知る限り情報では下記の通りとなっています。

①伐採
動画を見ていただければ、伐採する速さは
チェーンソーなどに比べ、格段に速いです。
フィンランドの地形が平らで、大袈裟に言うと
畑で木を育てているような感じです。
(木材は農産物にあたります。
伐採を英語でHarvesting=収穫というのも納得です。)

平らなところで育てるため、木材は比較的まっすぐ伸び、
しかも機動力のある重機でも作業しやすくなっています。
(日本は急峻な斜面が多いので、このような伐採機の導入が
難しい地域があり、タイヤでなく、キャタピラーなどに
変更するなど機動力が制限されてしまいます。)

また、作業者は頑丈な操縦席に守られているため、
万が一、丸太が操縦席にあたっても安全に作業することができます。

②枝打ち
丸太が真っすぐであるので、かなりの速いスピードで
枝打ちが可能になります。
枝打ちをしながら長さを計測していきます。

③丸太の切断
指定の長さでの切断と同時に、スプレーで木材に印がつけられ、
納品先ごとに仕分けをしていきます。(ある程度まとめるという程度)

恐らく、ここまでが一般に知られている機能です。

実は、この伐採機は他の機能も備えています。
④丸太計測システム
丸太を切断(倒木)する際に、伐採機で丸太の根に近い部分を
つかんだ瞬間に、丸太の径の大きさを測定します。
その大きさを基にその木の長さを推定し、納品先への
長さを考慮しつつ、もっとも歩留りの良い切断方法を割り出し、
自動的に丸太の長さを決め切断します。
これを丸太一本一本を切断するたびに繰り返し行っていきます。
また、長さを測ると同時に10㎝毎の径の大きさが計測され、
丸太の体積のデータが算出されます。

⑤データの収集
この伐採機は丸太伐採会社と契約していて、収集された丸太の
情報は全てオンラインで繋がって、その会社のデータセンターに
送られています。
(フィンランドは人口密度が低く、電話線を引く費用より
アンテナ基地局を建てる方がコストが抑えられるため、
携帯電話などのネット環境が整えられている。
その為、森林の中でも携帯電話が良くつながります。)
常にセンターからのフィードバックがあり、納品先からの
リスエストや数量の調整を行っています。
売買に関するデータから、生産性に関するデータまで集められ、
その伐採した木材の量をベースに森林所有者への木材の代金が
支払われます。
また、年間に企業ごとに割り当てられた伐採量を
超えないように管理されています。

⑥ナビゲーションシステム
切断の情報とは別に伐採エリアが操縦席の画面上に表示され、
切断可能なエリアがマップで示されています。
伐採機自体にGPSがついていて、契約した地域外の丸太を
伐採しないようになっています。

伐採後は、切り株や土地の整備を行ったあと、植林をし、
次の世代、或いは、その次の世代へつなげていきます。

このようにして、貴重な資源である木材の持続的活用をしつつ、
顧客にニーズ応える丸太を伐採し、且つ競争力のある
丸太を提供することができるフィンランド、
木材に関する技術は日々進化しています。
無人で伐採を始める日もそう遠くはないかもしれません。