モビルサウナ開発秘話④

第四話「積載重量制限脱出作戦」

MS-02をロールアウトさせ、我々は勢いに乗っていた。
「あえて言おう、カスであると」と言ったギレン・ザビくらい、
調子に乗っていた。
ぼちぼちお気づきの読者もおられようかと存じますが、
筆者は初代G直撃世代、ガンプラを買いに近所のおもちゃ屋に並んだクチです。
「あえて言おう、好きであると」

閑話休題。
この勢いをかって、モビルサウナをさらに広めていこうという機運が盛り上がり、
「フィンランド大使館へPRに行こう!」となるのは時間の問題であった。
そこで我々は、外装を換装し、初めてのカスタマイズを行うことにした。
サウナ、及びサウナ文化発祥の地、フィンランドに対する敬意を込め、
フィンランド国旗の色である、白と青を基調にしてデザインした。
それが、MS-03、ソロモンの白狼ならぬ、フィンランドの白雪に似合いそうな、
「Laatikko MovingSAUNA SUOMI Custam」の誕生の瞬間であった。

左から、MS-02、MS-03、MS-05、MS-06


そして、調子に乗っていた我々にさらなる難題が降りかかるのは自明であった。
軽トラックに載せて動く自由を手に入れたLaatikko MovingSAUNAだが、
さらなる機動性の追求と拡張性の向上を目指し、
トレーラー搭載型の開発に着手した。

しかし、ここで思わぬ事態が発生する!
納品されたトレーラーは、積載重量が250㎏までだったのである。
100㎏もの軽量化などできるのか?
我々開発陣は頭を抱えてしまった。

「やるしかない」
そう、もう後には引けないのだ。
目の前には納品されたばかりの軽トレーラー。
君には罪はない。
無論、この軽量化に成功すれば、更なる発展が期待できるのだ。
我々は何をどれだけ削ることができるのか、研究を重ねた。

そして、ついに、軽量化の目処がたった。
長さはそのままに、幅と高さを詰め、
パネルの厚みを限界まで薄くし、
不要な部材を削減した、超軽量化モデル「TMS-05」が誕生した。
その重さ、220㎏。
驚くほどの軽量化に成功したのだった。

静岡の海岸に現れた、TMS-05

なお、本来のトレーラー型から設計変更を余儀なくされたため、
当初開発を進めていたMS-04は実現することなく欠番となり、
その思想はTMS-05に引き継がれた。